歯周病に関する疑問、質問に答えます。
歯槽膿漏罹患度は歯周基本検査とパノラマ写真で分かります。雑誌の自覚症状をあてにしないで,歯周基本検査をまず受けて下さい。
患者さんからよく聞かされます。
私は塩で歯磨きしており、先生のWood Pyros柿渋歯磨液は要りません、と。
塩マッサージをしている人のデータを測ったことがありますが,結果はよくありません。本人は信じているので,ほっときました。こういう輩は,なにを言っても聞いてくれないものです。
古くから塩マッサージは語り継がれており,しないよりはまし。「信じるものは救われる」と言うことで,そうですか−と聞き流しております。
この話はよく話題になるため詳しくお話します。
塩のつぶが研磨剤となっていて歯垢除去に役立っている。つぶでなくなれば意味がないということです。
塩に殺菌作用があるというのは認めますが,飽和溶液に近い塩分濃度でなければ,殺菌作用はありません。
例1 漬け物にかび,腐敗,腐食防止として塩を入れますが,薄いと火烙菌,乳酸菌が発生します。
漬け物から出る水分によって,塩分濃度が下がると,カビや腐敗が発生するため,追い塩をするのはこの理由に基づく為です。
これからわかることは飽和溶液でない塩には殺菌作用はないということです。
ですから簡単に塩に殺菌作用があると肯定出来ないのです。塩分濃度条件付きの殺菌作用です。
殺菌作用機序
砂糖,塩共に濃度によって細菌の水分を奪い取り,細菌をひからびた状態にするため細菌が死んでしまうという理屈です(浸透圧による殺菌作用)。
ですから塩で塩もみするのも,砂糖で砂糖もみするのも野菜の水分除去が目的です。
この例として砂糖漬けが上げられます。この殺菌作用機序により,砂糖にも殺菌作用があるのです。
ですから,どうしても塩もみで殺菌作用を期待するのであれば,飽和溶液の塩水を少なくとも30分は含んでいる必要があります。当然歯茎もひからびますが.....。
塩もみは歯磨き粉の無かった時代に,歯磨き粉の代用品として用いられてきた,貧しい時代の過去の産物と言えるでしょう。
塩もみをありがたがっている人は貧しい時代の民間療法に未だ拘りつづけているに過ぎません。
塩もみが有効であるのであれば,漁師は虫歯も歯周病もないという相関関係があるはずです。
現実には漁師の方が口腔衛生観念が薄く,歯周病が多いという逆の結果が出ています。
海水位では殺菌作用はありません。大腸菌がうようよ存在出来ているのですから...。
飽和溶液の作り方
熱湯に塩を入れ,かき混ぜ,塩の結晶がなくなるまで入れます。そのさめたものを口に含みます。私も一度やったことがありますが,耐えられたものではありません。海水の塩辛さでは,魚も大腸 菌もうようよ生息できます。これらが死ぬ濃度ですから,推して知るべしの塩辛さです。
砂糖にも殺菌作用がある
砂糖も殺菌作用があるから,あめ玉をずっとしゃぶっていれば,ばい菌が死んで歯周病にならない?という理屈もあります。
何故かこれは流布しておりません。虫歯になるじゃあないか,という理屈からです。
歯の周りがネバネバするのはムコ多糖類のレバノンに基づくものです。しかし,理論的にはほっぺたも落ちる程甘い砂糖を年中ほおばっていれば,虫歯菌も死ぬかもしれません。そのかわり脱水状態により,歯の神経も,歯茎も,舌もひからびていることでしょう。
甘いものを食べて歯がズキズキするという理由は,前述した浸透圧作用により,神経のある歯髄の内圧に刺激を与えてズキズキするという理屈です。
塩で感じないのは,ズキズキするほどの塩辛いものは口に入れられないという理由に基づくためです。
塩水は膿汁とよくなじみ,すすぎと共に膿を口外に出すという働きをしています。ですから,塩で漱ぐというのは,あながち効果なしとは言い切れません。しないよりはした方が良いと思われます。これは私達の祖先である細胞が海中にあったことを物語るものです。
炎症がある傷口に、貴方は塩もみをするでしょうか?
傷口に塩を塗り込むというのは 因幡の白ウサギと同じで,ヒリヒリして痛いと思うのですが,いかがなもんなんでしょうか? 歯茎は鈍感なため,気持ちいいのかも知れません。勝手にして下さい,という世界です。
普通に考えれば,傷口に塩もみすればかえって炎症が激しくなり、ヒリヒリするので誰もしようとしません。
傷口の汚れを落とし,安静に保つというのが基本です。それと同じ様な考え方が口の中にも適用されるべきです。
WoodPyrosも収斂作用が強いのですが,うがいでデータがよくなったという症例はありません。
やはり地味なことですが,歯茎の付け根の歯垢を取り除くということが,良いデータをだす条件ということが,当医院の症例でも証明されています。
正しい部位の歯磨きが大切という理由の一つです。
この点から考察すると,やはり"塩水の漱ぎはあまり効果なし"ということが,わかってきます。
塩が歯周病に効くとなれば漁師は歯周病にならないとか,お茶は歯周病に効くとなればお茶所静岡や宇治の人,お茶をよく飲む人は歯周病にならないという地域性,特異性がなくてはなりません。
静岡に歯医者はいらないというデータが出るはずです。しかし,地域的,特異的は証明されておりません。
口腔清掃に関心のある人は歯が沢山残っています。
この事実から分かることは基本的なことですが,歯をきれいに磨くにつきるものはないと心得て下さい。
磨いているときれいに磨くとは違いますので、混同されないようお願いします。これも歯科医院での判定による必要があります。
たいした殺菌作用はないと思います。
デンタルプラークはバイオフィルムという特殊な構造をしており,殺菌剤は効かないというのが最近の定説の本流となっています。
洗浄作用はあるのか?
洗剤が入っているのですから,ないとは言えません。
しかし,あなたに聞きたい。衣類を洗剤の中ですすいで,きれいになりますか? 付け置きできれいになりますか?洗濯機はいりませんか?
そうです。機械的洗濯はいるのです。
しつこい汚れと同じように,歯垢もねばっこく歯と歯茎にへばりついています。これをぬぐい去るには歯ブラシしかないのです。
ウオーターピックを歯ブラシの代わりと思っているとしたら,大間違いです。
強力なジェット水流は洗いにくい場所の洗浄になくてはならないものです。
しかし、あまり強力過ぎると、歯から歯肉を剥がしてしまいます。
歯肉から血が出るのはその為です。
当院では勧めておりません。
「悪い虫歯菌,歯周病菌は全部殺してしまえ!!」という発想,質問を頂きました。
口の中を無菌状態にすれば良い。確かに単純に考えると,そういう結論に至ります。
悪い人間,罪を犯した人間を限りなく殺していけば,残るのは善人ばかりのユートピアが来るかも知れません。しかし果たしてそうでしょうか?
口の中の世界について言えば,口の中に細菌(常在菌)は必要というのが常識とされています。
何故でしょうか?
理由は口の中の現在の細菌(常在菌)を叩けば,つまり薬で全滅させれば,次なる菌が口中にはびこる。その菌を叩けば,次なる菌がはびこるという理屈で,無風地帯はありえないという考えです。
食べ物を摂取する時,口を開けた時,キスをした時,空中の菌が口中に入った時,どのようになるか?
口の中の空白地帯に、空中の菌が簡単に占領して,口の中はカビだらけになるでしょう。
つまり他の雑菌の進入を防ぐために常在菌が必要です。
比較的悪くない菌であれば良しとする社会が口の中で構成されているのです。なぜ虫歯菌や歯周病菌が許されているのかは分かりませんが。
いいことと思われません。
理由は歯茎を下げる原因と見なしていること,に基づくものです。
爪楊枝を使う人は歯と歯の間(歯間乳頭)に隙間が出来ています。
歯間乳頭を圧迫し下げる働きをしています。そのため隙間が出来るのです。
それで物が詰まります。取るために爪楊枝を使います。ますます隙間が大きくなります。
当院では爪楊枝やラバーチップを使わないよう指導しています。
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