他の歯の治療はしないPRIVACY
症例11 「歯医者は言われた事だけをすれば良い」
「8┓の抜歯だけして欲しい。他の歯の治療はしない」
Oさん 初診 12年3月16日 撮影パノラマ写真
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- Oさん 測定日12年3月16日 初診
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他の歯の治療はしない」と言われたので,柿渋歯磨きをお薦めすることをあきらめた。
- 12年3月16日来院初診 「8┓の抜歯だけして欲しい。他の歯の治療はしない」と言われたので,柿渋歯磨きをお薦めすることをあきらめた。
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- 【判定基準】EPPの数字が7以上かTMが2以上であれば重度と判定。
- いずれか一方のEPPの数字が12以上かTMが3以上であれば,末期で絶望歯と判定。抜歯あるのみ。--上の歯では8┛、下の歯では8┓
- 【判定基準】ダブル(EPPが7以上でかつTMが2以上の歯)であれば,末期,絶望歯と判定。抜歯あるのみ。--
- 【考え方】ダブルになると「噛めないので抜歯してくれ」となる。噛めないという訴えはTMの数値(3以上)で決まる。ポケットの深さEPPが大きくても動揺度TMが小さければ、噛んでも痛くないので訴えない。「自分は歯周病ではない」「抜きたくない」と言い張る。だからといって、残せるかどうかは疑問。ポケットが深ければ深いほど歯根が汚染されている。抜歯の最終判断はレントゲン写真で決定される。
- 以上の考え方で診断すると 噛んだら痛いので「上の歯では8┛、下の歯では8┓」を抜いて欲しい」と言うはず。しかし,抜歯依頼は8┓だけであった。
次の抜歯候補は87┻5,6┓。
- o13年2月20日来院 「┗7の歯が欠けている。舌が引っかかるので抜歯して下さい。治療はしない。入れ歯になってもいいので抜歯して下さい。」との事。 説明すると┗7の歯をちゃんと治療するとの事。
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- 8┛がない。自然脱落した模様。7┻5,6┓が次の抜歯候補。X 印は歯がないことを表している。
- 14年9月25日来院 「7┛を抜歯して欲しい。他の歯の治療はしない。」 Oさん
- 測定日 14年9月25日
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- 6┓が「噛んだら痛い」状態だが抜歯依頼は7┛であった。
- 次回の抜歯候補は┗567、6┓。 1
- 4年9月25日撮影
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- 15年6月23日来院 「6┓がなにもしなくても少し痛むので抜歯して欲しい。」
- 測定日15年6月23日
- 第一候補の6┓の抜歯依頼があった。 次回の抜歯候補は┗567。
- 15年6月23日 抜歯後「次回来院した時に6┓に歯をたててくれるんですか?」と聞かれたので「抜歯したら下に歯がないので差し歯は出来ません。入れ歯しか出来ません」とお答えした。
- 「どうしたら歯を抜かなくてすみますか?」と尋ねられたので「柿渋歯磨きして歯周病をとめれば抜歯を防げます」と申し上げた。
- 「柿渋歯磨きをしたい」との申し出があった。その後1ヶ月間の使用で中断された。
- 15年9月17日来院 「┗7が少し痛む時があるので抜歯して欲しい。柿渋歯磨きを再度したい。」との申し出があった。
- 測定日15年9月17日
- ┗7の抜歯依頼があった。 次回の抜歯候補は┗6。 来院日15年9月17日
- これから柿渋歯磨きするとどうなるか?経過観察していこう。
- 使用開始日15年9月17日
- 15.年12月2日.
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- 16.年1月.14日
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- 16.年2.月19日
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- 大きい数字の歯は治りが悪いことがわかる。
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- 16年3月24日
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- 下の歯は治りが早いことに気付く。
- 16年.4月.28日
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- 使用開始日15年9月17日後8ヶ月後に安全域までに回復した。 やっと歯周病治療をさせてくれた。15年9月17日から今日18年4月3日まで中断することなく柿渋歯磨液を使い続けておられる。一本も抜歯することなく今日に至っている。
- 12年から15年の4年間で奥歯4本失ったが,15年から18年の4年間で抜歯は0本である。
- 歯周基本検査データを見れば15年9月17日を境に大幅にデータが改善されたことが分かる。
- 年をとれば取るほど歯周病で歯を失いやすいが,諦めることはない。
- この症例のように柿渋歯磨きすれば歯周病に勝てる。歯周病に勝つには気紛れな柿渋歯磨きはダメ。持続的な柿渋歯磨きが大切である。
16年.5月.28日
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- 16年.6月.30日.
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- 16年.8月.3日.
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- 16.年10月.12日
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- 16.年12月.15日
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- 17年.2月.21日
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- スケーリングの間隔があくと悪化を始めた。
- 17.年4.月26日
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- 17.年9.月20日
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- 17.年11月.21日
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- 測定日18年2月24日
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- スケーリングの間隔があけばあくほど悪化した。こういうタイプの人は1ヶ月毎のスケーリングが必要で3ヶ月毎のリコールでは数値を維持出来ない。柿渋歯磨きだけで歯周病は克服出来ない。スケーリングも必要である。そのことを患者さんは肝に銘じて欲しい。
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- ここまで来ると皆さんは『最初から柿渋歯磨きしていれば,この患者さんは8┛,8┓の抜歯だけ済んだはず。』と推定出来るだろう。多分歯は下の表のように残っていたことだろう。
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- 『年を取れば取る程悪化するはず』に逆行している。1年ごとの抜歯が止まった。15.年10月29日以来3年間抜歯していない。
- 今度はレントゲン写真を見てみよう。この患者さんはあまり写真を撮らせてくれなかったので、ありったけの写真を載せた。
- ┏6に根分岐部病変が認められる。76┓がないため、どうしても┏56に負担がかかってしまう。ここしか噛める所がないだけに治療がしずらい。┏4567連結冠が妥当であろう。いつ歯科治療に踏み切るか迷っている。
- 歯周基本検査のデータに疑問を感じている。4ヶ月後も同じ映像であれば、┗3抜髄した後┗3456の連結冠をする必要があろう。このことは患者さんに伝えた。時々レントゲンを撮ることは大切と思い知らされた。
- また、この患者さんは検査やスケーリングを嫌がり何度もすっぽかれた。これも歯周治療メンテナンスに不利となった。
- 症状のある時しかレントゲン写真がとれない人だったが、18年の写真はなんとか撮れた。時々レントゲンを撮ることは大切と思い知らされた。
- また、この患者さんは検査やスケーリングを嫌がりすっぽかす傾向がある。これが歯周メンテナンスに不利となった。(歯周治療)
4つの治療(柿渋歯磨き治療、歯科治療、歯周治療、抗菌剤治療)
- 皆さんは柿渋歯磨きだけで良くなると思っていないだろうか?
- 決してそんなことはない。
- 6章で書いているように4つの治療(柿渋歯磨き治療、歯科治療、歯周治療、抗菌剤治療)で歯周病と闘うべきだ。
- 歯科治療による連結冠の増加も咬合圧軽減療法として大事である。(歯科治療)
- この症例の場合は歯周治療をさせたがらないことが悪化の原因と思う。
- 18年4月の保険改正で歯周治療の激変があり、メンテナンス管理に混乱が生じた。
- 歯周治療はこれからどうなるのだろうか?8020運動(80才で20本の歯を残す運動)はどうなるのだろうか?歯周治療なくして8020は不可能なのだが。8020運動による認知症を減らすという姿勢もなくなったという事か?
- 保険改正があり,歯周治療がしずらくなった。多分こういう患者さんの数値維持は難しくなる。8020運動に始まった歯周管理システムが医療改革の名の下に破壊された。
- 入れ歯の患者さんが増え,入れ歯でかめないという訴えが増えるであろう。
- アメニティ快適性生活の向上の破壊が今後とも改革という名のもとに続くのであろう。
歯科治療の必要性
- 歯科治療の必要性 柿渋歯磨きだけで歯周病を改善するには限界があります。
- 食片がつまりやすい場合はつまらないようにする必要があります。-食片圧入阻止治療
- 歯冠形態が歯周組織にとって悪い形の場合、 1.上顎臼歯部の内側の口蓋側 2.下顎臼歯部の内側の舌側 に特に多いのですが、食渣の流れを考慮した形態にする必要があります。-食渣流路改善治療
- 歯がぐらぐらしている場合は他の歯とつなげて動かないようにしなくてはなりません。安静を保ってやってこそ回復が始まるのです。歯科治療をとおして歯茎に過度の負担がかからない状態にしてやる必要があります。-咬合圧軽減治療
- 歯石をとったり噛み合わせをなおしたり物がつまらないようにしたりして,歯茎にやさしい環境を作り出すことが回復への一歩であり歯周病治療の大原則です。-歯科治療
- 歯を抜く前に,諦める前に柿渋歯磨きを試してみて、それから歯を抜けばよい。
- 噛んで痛い歯でも然り。
大抵,噛んで痛いとか歯がぐらぐらすると言って来院される歯を助けているんですから 、諦めるのはまだ早い。
- しかし,末期症状の歯でもなんでも救えるという代物ではありません。救えるものは救える。程度問題です。そこは理解して下さい。無茶苦茶な期待はしないで下さい。
- 歯周病克服は地味で継続的な努力の上に成り立つものです。
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TEL.072-881-7314 FAX.072-881-7395
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岡野歯科医院 岡野吉喜
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