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歯根表面積算出の試みcampaign


保団連研究集会 仙台にて開催
記録誌2008.11.5提出
 

歯根表面積算出の試み

  • 歯根表面積算出の試み 2008.11.15 保団連研究集会(仙台)記録誌提出      
    大阪府門真市脇田町17-1岡野歯科医院-岡野吉喜 共同研究者-井村久史
  • 【目的】
     ブリッジによる補綴治療の成功・不成功を決定する大きな因子は各支台歯の咬合力負担能力であり、それは歯根膜の表面積に比例するものと考えられている。(ブリッジの考え方2007日本歯科医学会) 歯槽骨吸収の進んだ歯牙を支台歯に使うことが多い臨床で、支台歯数や連結本数を検討したいが身近に使えるような手段がなかった。今回、パノラマで歯根長(・単位)を測れば歯根表面積(平方・単位)でわかる歯根長-歯根表面積テーブルシートの作成を試みた。


歯根表面積算出の試み

歯根表面積算出の試み

  • Tylmanの歯根長データがわからないのでWheelerの歯根長で歯根表面積を求め、Tylmanの表面積データと比較した(表-1)。
  • 今回の解析は水平切りで、図-1のような歯頚線彎曲で囲まれた面積を含んでいない。上下顎第一大臼歯においては、根尖から分岐部までの歯根長を8・とした。
  •  表-2は歯根長の文献データであるが、藤田と古田の間でもデータに違いがある。従来の歯根長データは、例えば上顎大臼歯の場合、頬側根を歯根長にするとか、3根を平均するとか、計測方法が統一されていない。また、外国人と日本人の人種差、対象の個体差などでデータに違いが出ると思われる。これらのことを考慮して表-1の歯根表面積を見れば、計算によって求めた表面積と余り差異がない。よってこの歯根表面積テーブルシートは実用に耐えると思われる。


歯根表面積算出の試み


  • 上記の見解を検討することも興味深いテーマである。
  • こういう検討が出来るのも歯根表面積テーブルシートがあればこそであり、その有益性は大きいと思われる。
  • 歯根表面積以外の指標として、臨床的歯冠-歯根長比がある。
  • 支台歯の条件として、1対2は理想,2対3は好適,1対1は限界と言われるが、表-3の藤田計測値をみれば理想支台歯はこの世に存在しないし、1┻1は健全歯であっても限界支台歯になってしまう。
  • 他の指標の提示が待たれる。
  • また、単純に面積合わせに終始するのではなく歯冠-歯根長比も含めた検討も必要だろう。

【終わりにあたって】

  • 【終わりにあたって】
  •  2003年10月の保団連研究集会で「ポケット化学的清掃の意義-woodpyros歯磨液による治療」について発表し、2004年9月5日の全国保険医新聞に掲載された。この歯磨液の効果は絶大で、歯周治療に励むきっかけになった。それ以前は、患者さんはリコールに応じてくれないし、3┳3Brの患者さんが2年ももたずにBrがごっそり抜けて来院された時はBrにするのがイヤになった。今は、この歯磨液のお陰で何も言わないでも歯磨液を求めにやってくるし、この9年間Br崩壊を見ることがなくなった。
  • 2〜3・歯根膜長支台歯の場合、保険適用Brが持つとは思えないので勘で支台歯本数を決めているが短めのBrになりやすく、本数が少ないためか動揺が発生し支台歯本数を追加するときがある。
  • また、現在動揺ゼロの支台歯が連結による過重負荷により将来動揺を招く可能性があるが、歯根長による支台歯の咬合圧負担能力の評価手段がないため、Brの設計が適切であったかどうか不安であった。今後は、個々の歯牙の歯根膜表面積の数値化によってBrの咬合圧負担能力の検討も出来るだろうし、「これくらいの表面積しかありませんので歯を◯本連結させて下さい。」と患者さんに言えるだろうし、患者さんも自分のデータを見て「これくらいの表面積では頼りないわね」と判断出来るようになるだろう。

後書き

  • (後書き) 最初は上顎5第2小臼歯の歯根表面積を求めてみようというのが、主たる目的であった。20年5月に研究発表の申し込みをして確定すると、10月まで暇がある。その間暇に任せてもっと素晴らしい内容にしようと努めることになる。そうこうしている内に、ここまで来てしまった。
  • この研究を利用すれば、ブリッジパターンごとの表面積を求め、患者さんに提示することが出来る。また、口の中にあるブリッジが歯槽骨の減少により有効歯根膜表面積が減少して咬合負担に耐えられないか耐えられるかが判る。不足しておれば連結して補えば良い。また、動揺歯を支台歯として利用する時も、動揺が治癒したものとして歯根膜表面積を評価しても良い。また、患者さんに説明する時は 2/3、1/2、1/3、1/4、ごとの歯根膜表面積が若いときと比べ何パーセントであるか提示すると良い。

個体差で歯根長が異なる。だから意味がない、という疑問に対し、

  • 歯根長で比べた場合は、「短い歯根長を持つ人と長い歯根長を持つ人の間にデータ上でたいした違いがあるとは考えられない」というのが答えである。歯根長の短い人は大部分が短く、とりわけ1本の歯だけが突出して長いという事例をみたことがない。ドラキユラ男爵を見たことがない。歯根長の長い人はすべての歯が長い。相似形と言い切って良い。だから比率は一致する。だから一人の人の歯根長比でブリッジ負担能力を検討しても構わないし、それは他の人のブリッジ負担能力にそのまま適用できる。
  • このことに異論がある人は申し出てもらいたい。
  • 歯根長が長いから歯周病になりにくいか?というとそうでもないというのが臨床的実感である。 
商品イメージ6
  • ひょんなことから始めた研究がいろんなことに役に立つ研究に発展する可能性がある。臨床結果と合致するか、ソフト作りを含めてこの研究を発展させたいと思っている。
  • このソフトの実用化をメーカーに提案したところ,断られた。現在販売しているソフトも販売中止とのこと。歯科ソフトがあまり売れないらしい。2009.2.20記

End!!


制作著者情報

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